シアタークリエ・帝国劇場・全国の大劇場で例年上演を続けている、音楽朗読劇VOICARIONシリーズで原作・脚本・演出を手掛けている藤沢文翁。
物語と音楽が互いを高め合い、観る者の心を揺さぶる、劇作家・藤沢文翁が創り出す作品は、かねてより「歌わないミュージカル」と評されてきました。
そんな藤沢文翁オリジナル作品の一つであり、東宝初の朗読劇として2012年にシアタークリエで上演した『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』を、満を持してミュージカル化!
ミュージカル界をけん引するスターキャストを迎え、東宝が贈る、
本格オリジナルミュージカルです!!
〜悪魔と呼ばれた天才ヴァイオリニスト〜ニコロ・パガニーニ
相葉裕樹 / 水江建太(Wキャスト)
1782年イタリアのジェノヴァに生まれる。幼い頃からヴァイオリンの才能を開花させ、「天才」と言われ続けるも、「自分の才能がないことを知るくらい才能があった」パガニーニは、誰よりも自身の才能の限界を突きつけられ育つ。やがて家族や周囲の期待が彼を追い詰め、結果的に街外れの十字路で、音楽の悪魔アムドゥスキアスと血の契約を結んでしまう。それは、「命」と引き換えに天才だけが奏でられる「最高のメロディー」を100万曲演奏できるというものだったが、その先に待つのは死。やがて彼が奏でるメロディーは命の砂時計のように、残り少ない命の残り時間を刻んでゆくのだった。
〜音楽を司る悪魔〜アムドゥスキアス
中川晃教
ソロモン72柱の魔神にして29の軍団が長(おさ)、地獄の公爵。音楽を愛し、音楽を授け、音楽を司る悪魔。軽快な話術と、紳士的な態度で、音楽を求め音楽に苦悩する若き音楽家に忍び寄り、血の契約を提示する。様々な方法で人を堕落させる72柱の魔神たちの中で唯一、魔性の音楽で人間を堕落させる珍しい悪魔。その一挙一動にリズムがあり、一言一句にメロディーが溢れているが、時折隠しきれない魔神の恐ろしさを垣間見せる。音楽で溢れたこの時代において、パガニーニに特に執着しており、彼を自らの最高傑作とすべく、彼と彼に関わる人間たちを翻弄してゆく。
~自由に音楽を愛するジプシーの娘~アーシャ
早川聖来(乃木坂46)
19世紀のヨーロッパにおいて、様々な音楽家に影響を与えた流浪の民の一人である。最初はパガニーニの純粋なファンであり、楽屋や劇場に忍び込んではパガニーニの音楽を盗み聞き、何度となくパガニーニに「劇場猫」と罵倒され、つまみ出されるが、懲りることはない。やがて、パガニーニやその恋人エリザが抱える苦悩に気づくようになり、パガニーニの良き理解者となる。天真爛漫でへこたれず、底抜けに明るい態度は時にパガニーニを苛つかせ、時にパガニーニの支えとなる。天才ではないが、流浪の旅で覚えた様々な楽器や音楽を知っている。
~ナポレオン皇帝の妹~エリザ・ボナパルト
青野紗穂
ナポレオン・ボナパルトの妹。アムドゥスキアスの差し向けたファム・ファタルとして登場する。眉目秀麗で頭の回転も早いが浪費家。また退屈な王宮の生活に飽き飽きしており、常にスリルを求めている。彼女との自堕落な生活の中で、パガニーニは命(音楽)を無駄に削ることになる。やがてパガニーニを心の底から愛するようになったエリザは、自分の存在がパガニーニを死の淵へ追いやってしまっていることに気付き、「アムドゥスキアスの思い通りにはならない」と断腸の思いでパガニーニを追放する。
~パガニーニのヴァイオリンの師~コスタ
畠中 洋
幼い頃からのパガニーニのヴァイオリンの師。社交的で明るい人物であるが、中身は俗物的なところがある人物で、良くも悪くも現実的。音楽に関して非常に鋭い感性と洞察力を持っており、パガニーニが自らを「天才にはなれない」と言う、彼の限界にも気づいている。悪魔と契約したパガニーニの演奏を聴いて、最初にその異変を察知する人物。
~パガニーニに仕える執事~アルマンド
山寺宏一 / 戸井勝海(Wキャスト)
パガニーニの忠実な執事であり、音楽にはかなり詳しい。 パガニーニからは「パロマ一の頑固者」と言われるほど堅物であり、年齢はパガニーニより年上であるため、執事でありながらパガニーニを時に叱り、時に励まし、影となり、日向となり支えてきた。パガニーニが死んだ今でさえ、無人となった屋敷とパガニーニの残り香を守っている。非常に紳士的な人物であり、ジプシーであるアーシャにも誠実に接し、彼女のことを十字路の悪魔から守ろうとする。「悪魔」と人から遠ざけられた、今は亡きパガニーニの物語をストーリーテリングする役どころである。
~心優しきパガニーニの母~テレーザ
香寿たつき
パガニーニの母親。貧しい生活の中でも力強く家族を守り、ささやかな幸せを大切にしている。息子を貧しい生活からヴァイオリンの腕一つで抜け出させたいと願う一心で、ジェノヴァで最高のヴァイオリン教育を受けさせる。パガニーニの幸せをただただ祈っている母親。パガニーニの「僕を誇りに思う?」という問いかけに「sempre…(いつもよ・・・)」と答えてきた。次第に苦悩しながら演奏するようになる息子を心配している。パガニーニが「天才」と呼ばれようと「悪魔」と呼ばれようと、いつも変わらず彼を応援し続ける優しい母親であるが、芯の部分はとても気丈であり、彼女のある行動がパガニーニを救うきっかけとなる。