パフォーミングアート

おかげさまで4回目の公演となります『信長の犬』。

この作品を右大臣織田信長公が生まれた地で再演できることは

嬉しいだけでなく、不思議なご縁を感じております。

血で血を洗う戦国時代に、戦国武将たちが外来犬種を飼っていたという史実と、
日本最初の軍用犬という史実、ふたつの史実をおり混ぜ、
完全オリジナル作品として書き下ろしましたのが本作です。

どんな時代にあっても、人は動物との関わりの中で、
本来の人間らしさを呼び起こせる。

そんな思いが詰まった物語でございます。

戦国絵巻を一匹のボルゾイが駆け抜け

その風は、取り巻く武将たちの心のひださえ揺らしてゆきます。

声歌舞伎『信長の犬』ついに御園座に見参します。

お楽しみに

原作・脚本・演出
藤沢文翁

CAST

織田家

信長の犬:諏訪部順一、亡き信長を慕い続ける日本最初の軍用犬
戦国武将たちから「白い魔犬」と恐れられる真っ白で美しい犬。実際はロシア産のボルゾイである。狼狩り用の巨大犬。信長から「風の神が如き美しさ」と言われた俊足を持つ。最高時速は50km。4足歩行時の体高は90cm。立ちあがると180cmにもなる。本能寺の変で主を失い、「化物」と農民たちに石をブツケられ逃げ続けてたどり着いたのが武蔵国岩付城(現在の埼玉県さいたま市岩槻区)城主 太田資正に拾われる。全くの無能な資正と信長を比較してしまい。過去にばかり生きるようになってしまう。
織田信長:朴 璐美、本能寺に散った憧れの将
第六天魔王と恐れられるその一方で、戦国武将たちの憧れでもあった不思議な男。南蛮文化をこよなく愛し、スペイン製の鎧にマントを翻し、漆黒のペルシャ馬にまたがり戦場をかける姿には敵味方関係なく魅了された。そして、その側には常に真っ白な魔犬(ロシア産のボルゾイ)が寄り添っていた。不思議なことに犬の心をなんとなく理解できる特技を持っていた。
明智光秀:保志総一朗、何もかも完璧だった秀才
名家に生まれ眉目秀麗で文武両道。火縄銃の技術は織田家で一番。織田家においては秀吉と二大巨頭である。信長ほどではないが、少しだけ犬の心を読むことができ、犬好きである。異常なほどに生真面目なためユーモアに欠け、時に人を興ざめさせてしまう。比叡山の焼き討ちや、朝廷への傀儡政策、暦の変更など、信長の恐怖政治を見るにつれ信長が天下人となった後に漢の高祖(天下人になったとたん優秀な部下を殺しまくった皇帝)になるのではないかと恐れ始める。
豊臣秀吉:山口勝平、全てを手に入れ、全てを失った孤独な天下人
光秀とは対照的に貧乏な百姓の家に生まれ育ち、一気に天下人へ駆け上がった日本史史上類を見ない出世人。カミソリのような頭脳を持ち、人たらしの天才。自分の生まれ育ちや、外見、文化芸術に対する知識不足のコンプレックスが激しくなり、美しい信長や光秀への憧れはやがて憎悪へと変貌してゆく、リチャード三世のような人物。犬と会話することはできないが、信長の犬に憧れており、「本能寺の変」以降行方不明となっている犬をずっと探しており、自分の側に置きたいと思っている最中、武蔵の国で勃発した「沼尻の合戦」において真っ白な魔犬が戦場を駆け巡ったという情報を耳にし、岩付城へ出向き「信長の犬」を差し出すよう通達する。

太田家

太田資正:浪川大輔、単なる犬好きの戦国大名
武蔵国岩付城(現在の埼玉県さいたま市岩槻区)城主。戦国武将としては、全くと言っていいほど無能。武芸、戦術、乗馬など、戦国武将ができそうなことは基本的に全くできない。おまけに病弱。ただ、この男唯一の能力が犬と会話することである。ただただ犬好きで、野良犬や、死にかけている犬などを見つけると拾ってきては保護してしまうために、「信長の犬」を入れると飼い犬の数は101匹である。官位が正五位下民部大輔(みんぶたいふ)であることから、領民、家臣からは犬大輔(だいふ)とあだ名されている。山中で傷ついた「信長の犬」を発見し、いつもの癖で飼ってしまう。
瑠璃丸:井上和彦、自分が死んだ後の主を心配する老犬
資正が最初に飼った犬で御年17歳。人間で言ったら百歳を越えている。かつては銀色の美しい毛並みを持つ犬であり、青い月光を浴びると瑠璃色に輝くことから瑠璃丸と名付けられるも、今ではその毛並みも黄ばみ、目も見えにくくなっている。「それでも、資正はワシを瑠璃色の綺麗な犬だとまだ言ってくださる」と二人の絆は固い。余命幾ばくもない瑠璃丸だが、資正に愛され、寄り添い、17歳まで生き、幸せすぎる人生だったと語るが、自分がいなくなったあとの資正を心配している。
野口多門:石田 彰、天下に手の届く才を資正にささげた無名の軍師
太田家城代家老であり、資正の片腕。資正とは乳兄弟であり年齢も多門が数日だけ年上ということもあり、主従関係というよりは本当に兄のような存在である。資正の父親が「お前が我が子であったなら」と言うほどに、資正に全てにおいて優れており、文武両道、冷静沈着な軍師であるが、こんな山奥ではその才覚を発揮する機会もなく資正に寄り添っている。 トラウマから、完璧な犬嫌い。というより犬恐怖症。
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