知っていますか?
明治の末期まで
坂本龍馬はほとんど無名の志士だったことを?
坂本龍馬の名前が世に出た時
妻であったお龍は、すでに老齢にあった。
英雄となり、話に尾ひれがついた坂本龍馬の物語の中には
彼女が大好きだった龍馬の姿はなかった。
アタシの知っている龍馬がいなくなっちゃう・・・
龍馬の死後、たったひとりぼっちで生きてきた坂本お龍
天真爛漫で破天荒だったお龍の魅力を愛せたのは龍馬ただ一人
お龍は語り始める。
彼女しか知らない、坂本龍馬の物語を・・・
それは、生まれる時代が早すぎた二人の物語だった。
- お龍/林原めぐみ
- 眉目秀麗にして天真爛漫、豪快で、常識に囚われない現代的な価値観を持つ女性。しかし、江戸という時代の中では、それら全てが「日本人女性の美徳」に反しており、誰からも受け入れられない。そんな時代の中で、「面白い」と全てを受け入れてくれたのが坂本龍馬だった。日本で最初のハネムーンへ連れだし、手をつないで歩き、時にはお龍に男装をさせ京の茶屋町へ連れ出す龍馬は、この世界でお龍を理解する唯一無二の存在だった。龍馬の死後、坂本龍馬は忘れ去られ、彼女も独りぼっちとなり、孤独な余生を送っていた。そんなある日、突然坂本龍馬ブームが巻き起こる。しかし、そこで語られる坂本龍馬は彼女が知っている龍馬とは異なるものだった。
- 坂本龍馬/宮野真守
- 言わずと知れた日本で最も人気のある歴史人物の一人。お龍同様、古い慣習に囚われず新時代の価値観を持ち続けた男。彼が生まれた土佐は身分制度が厳しく、龍馬は最下位の「郷士」という身分の侍でありながら、実家は土佐で一・二を争う豪商の息子である。武士としては最下位でありながら、商人としては大金持ちという矛盾の中で育った龍馬は、北辰一刀流の免許皆伝でありながら「刀より算盤が得意」という、他の武士とは異なった価値観を持つに至る。彼もまた、考えが現代的すぎたため、お龍だけが良き理解者であった。
- 陸奥廣吉 ほか/山寺宏一
- 坂本龍馬の海援隊隊士であった陸奥宗光の長男。爵位は伯爵。今は亡き父親の遺言を引き継ぎ、政治的な目的で坂本龍馬の名前を世に知らしめるために暗躍している張本人。お龍の存在を知り、坂本龍馬の物語を聞き出そうとしている。父親に似て頭脳明晰であり、ケンブリッジ大学やロンドン法学院を卒業し外務省に入省。のちの駐ベルギー特命全権公使。